日本の精神医療

精神科部長 金 鳳虎

新型コロナが流行り出して、2年半が過ぎました。こんなに長くなるとは思いもしませんでしたし、何時終わるのかも予想もできません。何が正しいやり方なのか答えが見つからない中、国民は個々に一生懸命に耐えながら頑張っています。すべての国民を守ろうという国の姿勢が、逆に経済に悪影響をもたらして、一層難しい状況に陥ったのでしょうか。精神障害者も例外なく厳しい環境に曝されていると思われます。

日本の精神障害者の現状を知る上で欠かせないのが精神保健の歴史です。国の令和4年版の「障害者白書」によりますと、日本の精神障害者は419万3千人になっています。国民の3.3%が何らかの精神障害を有していることになります。医療において、日本は国民皆保険制度をとっており、世界でも称賛に価する制度だと思います。なお、精神障害者は他にも精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療など、いろいろな優遇制度を受けることができます。しかし、昔は非常に冷遇されていました。

日本における精神障害者に関しての初めての法律は1900年に制定された「精神病者監護法」です。その目的は 「第一條 精神病者ハ其ノ後見人配偶者四親等内ノ親族又ハ戸主二於テ之ヲ監護スルノ義務ヲ負フ」とあります。
監護の責任者が精神障害者を私宅などに監置できるという法律でした。 東京帝国大学教授の呉秀三の報告書の中に次のような有名な言葉があります。「我邦十何万ノ精神病者ハ、実ニ此病ヲ受ケタルノ、不幸ノ外ニ、此邦ニ生マレタルノ不幸ヲ重ヌルモノトイフベシ。」
呉秀三の強烈な批判を受けて、1919年に「精神病院法」が制定されました。道府県が精神病院を設置できるという法律でしたが、国の予算が十分でなかったため、病院の設置はほとんど進まず、私宅監置がそのまま続いたのです。
1950年に欧米の精神衛生の考えも導入されて、新しく「精神衛生法」が制定され、精神障害者の私宅監置が禁止されることになりました。この法律から精神障害者の医療及び保護に舵を切ったのです。この頃に精神病院が沢山できました。
1964年のライシャワー事件や1984年の宇都宮病院事件などをきっかけに日本の精神医療が国際的に批判され、1987年に「精神保健法」が制定されました。「精神衛生法」に社会復帰が加わりました。
1995年に「精神保健福祉法」が制定され、精神障害者の自立と社会経済活動への参加が加わりました。その後幾度と改正され、現在に至っています。

100年前の私宅監置という管理型から現在の社会参加、自立促進に変わりました。精神障害者が地域で必要な支援を受けながら平等に暮らすことが望まれています。 コロナ禍で一時的に物理的距離が離れたとしても、やがて、みんなの絶え間ない努力により必ずや理想とされる社会がやってくると固く信じています。 1981年の国連の決議の一文を書き添えておきましょう。
「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである」。

(白帝ニュース 令和4年8月)


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