「ネイティブスピーカー」

副院長 杉浦 琢

私事で恐縮だが、最近、英会話にはまっていて、暇さえあれば英語をきいている。仕事にも役に立つし、よい趣味だと思っている。夢中になった理由は、とある機会に英会話教室で体験入学をして、何と今やズームでいつでもどこでも海外在住の「ネイティブスピーカー」と会話できることを知ったからだ。昔は海外に留学するか、高額な学費を払わなければできなかった。だが今やSNSでもたくさん無料で英会話の講義をしているチャンネルがあり、英語で生放送しているものもある。学科としての英語は得意科目だったが、英会話はまったく駄目だった。全く聞き取れないし話せない。 

海外には幾度も行っているが、英語を母国語としたところにはほとんど行っていない。避けていた訳ではない、と思うが、特に「ネイティブスピーカー」や「ネイティブスピーカーらしき人」に圧倒されてしまうのである。
しかしそうして英会話を勉強しているうちに、「ネイティブスピーカー」って何だろう、そんな人はいないのではないか、幻想ではないか、と思うようになった。だから英会話は続けているが、「ネイティブスピーカー」を目指すのはやめた。言うまでもなく言語というのはいきものだ。少し時代が異なるだけで、また少し場所が異なるだけで、随分とニュアンスもイントネーションも、言葉そのものですら異なる。たとえば、「ありがとう」などというよく使う言葉でも、大阪、名古屋、東京でイントネーションが異なる。「おおきに」なんていうのもある。また、今時「ナウい」「イカしてる」などと言うと、その人の大抵の世代がわかったりもする。それはもちろん英語も同じなのだ。イギリスはもちろんアメリカもオーストラリアも南アフリカもみな「ネイティブ」である。しかし、それぞれがものすごくちがいがある。だから通じればよいのだ。

しかしそこで出てくる問題が「ネイティブ度の差別」である。「あなたのイントネーションはおかしい。」「きちんとした言葉で話してほしい。」などである。しかし正しいイントネーションもニュアンスも言葉も基準はないのである。エリザベス女王が話す英語とBBCで使われる英語は同じではない。強いて言えばニュースなのであろうが、それですらかなりの頻度で用語もイントネーションも改定される。わたしはいろいろなところに旅をして、その土地の言葉を覚えて使うのが好きだ。しかし、土地の人は大抵中途半端に真似をされると気分を害するので注意が必要だ。害しないのは「ネイティブスピーカー」である。それは自分たちの言葉がそれでよいと思っているからであろう。それで優越感を持ったり、相手を圧倒してはいけないが、そう思ってから、わたしは普段は自分らしい日本語(名古屋ことば)を使い、自分が使いたい英語を身に付けようと思った。

また、どんな地域の英語も、言語も聞き取れるようになりたいと思った。ウクライナの首都キエフがキーウになるようである。それには賛成だが、30年前に訪れたあの街はウクライナのキーウではなくソ連のキエフであり、わたしが生まれ育ったのは清須市ではなく西枇杷島町であることまで変える必要はあるまい。

(白帝ニュース 令和4年4月)


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