Telepsychiatry:遠隔精神医療、その可能性

高沢 悟

二年間に及ぶCOVIT-19流行の遷延で、日常行動には様々な変容が起こり、また起こりつつあります。その中にITネットワーク、ICT(Information and Communication Technology)の活用による業務の変化も挙げられると思います。私たちの職場でも、学会や研究会などはZoomに代表されるWeb会議アプリを使用したオンライン会議が増えましたし、院内の会議やミーティングもPCを介してのものが多くなってきました。学会などではこれまで同時間帯のセッションは複数参加できなかったのが、on demandにアクセスできることで興味のあるセッションに参加できるようになりましたし、遠方の会場まで行かず、職場や自宅で参加できる利便性、経済性も効率化しました。一方で、季節の観光名所めぐりや旧知の仲間との会食などがなくなり寂しい部分もありますが、ハイブリット開催によって選択肢が増えたと云えると思います。
診療の現場でも、もともとはへき地医療のtoolとして開発された遠隔医療(Telemedicine)が、COVIT-19流行下での接触を避けた医療の技術として急速に普及して来ています。

さて、精神科領域でも今後はオンライン診療(ICTを用いた診療形態)の割合が増加すると思われます。直接身体に触れることが少なく、血液検査等が必須ではない精神科領域は、オンライン診療と相性がいいようです。海外でのシステマティック・レヴューでは症状評価、治療の有効性、患者満足度、費用対効果のいずれも対面診療に遜色はなく、むしろ勝っていた結果も報告されています(木下、岸本:日精協誌.第40巻.第9号)。海外では特に米国などでは80%以上の普及率と云われています。対面での診察に比べて、情報量が乏しいという批判を聞きますが、現在のマスク着用での診察より、オンラインならばマスクも取れますし、患者さんの了解を得られればお住まいの様子や、その場でご家族にも情報を戴けるなど、利点は多くあると思います。何より、もともと対人接触がストレスとなりやすく、外出や起床が困難な方には、待合室での待ち時間や公共交通機関を使っての通院は大きな負担だったはずです。それがなくなるだけでもメリットはあるのではないでしょうか。

一方、現在、時限的な規制緩和によって、主に電話等の診療の範囲は広がっています。今後通常医療の手法として、オンライン診療をどのような診療報酬に設定するか、患者さん側の自己負担をどう軽減するかなど医療経済的な側面だけでなく、録画や録音をしない約束、SNS等への流出をどう防ぐか、対面診療が必要になった場合、身体的な問題が発生した場合の対応の取り決めなどを含めた、オンライン診療を行う前提となる「契約」の問題など、多くの課題も検討を要します。

しかし、先ほどのハイブリットでの学会開催の様に、オンライン+対面診療、更に訪問看護や在宅医療を担う方との連携など含め、D(Doctor) to P(Patient)だけでなく、D to D with P、D to P with F(Family)or N(Nurse)、D to P with P(Peer Support)といったような連携が活用されるようになれば、診療の幅はもっと広がって行くと思われます。
いずれは、認知行動療法やSST、精神科リハビリテーションなどでは、例えば自分のアバターを参加させて、VR(virtual reality)での集団療法を行うなどの時代がやってくると思いますし、診断や治療にもAIを導入して、精度の高い診断、病像の特性に適した薬剤の選択(薬剤反応性、副作用発現の予測)などに活用できるようになると思われます。
夢は広がる一方ですが、私の場合、最初の第一歩は、まず自分のスマホを怖がらず使えるようにすること、うまく動かないからと云って感情的になったりしないことが必要なようです。

(白帝ニュース 令和3年12月)


∵ポータルページ
∵メニューページ(index)
∵更新履歴(新着順)
∵病院概要
∵外来受診案内
∵外来診察週間予定表
∵入院案内
∵お知らせ一覧
∵基本理念と基本方針
∵理事長・院長紹介
∵Read me(白帝ニュース)
∵交通案内(地図)・送迎バス時刻表
∵写真で観る犬山病院
∵職員募集(採用情報)
事業者/産業保健関係の皆様へ
∵インターンシップ
∵各施設の案内
∵院内写真ビュー(Google)
∵お問合せ(E-mail)



愛知県犬山市塔野地字大畔10

精神科・神経科・内科・循環器科・消化器科・皮膚科・歯科

 


Copyright© Inuyama 医療法人 桜桂会 All rights reserved.