食堂屋の精神医療

副院長 鴫原 大樹

初めまして。2021年9月1日から入職いたしました鴫原大樹(しぎはらひろき)と申します。早いもので、精神医療に関わって16年が過ぎました。正直なところ、専門医となってもまだまだ分からないことが多く、人間の精神や生活、そして社会の深遠さを感じるとともに、自身の未熟さも感じる日々です。

鴫原は福島県安達郡(現二本松市)の山間の商店街の食堂兼宴会場兼民宿の生まれです。両親は健在で80歳近い現在も現役で就業をしています。鴫原が生まれた昭和の後半は、地方でも商店街などは活気があり、今よりも2倍以上子供がいました。店はとても忙しく、毎日電話が鳴りやまず、両親はやっつけ仕事で食事を提供し、私と妹は満足に構ってもらえないような毎日でした。そんな状況が影響してか、少しだけ勉強ができた鴫原は、やっつけ仕事を嫌い、理路整然とした学問の世界にあこがれて医学部に入学しました。
大学では病理学に惹かれ、研究室に入ろうと考えたのですが、初期臨床研修制度があり、臨床経験がないと研究医にもなれなくなってしまいました。やむなく、小さな港町の病院で初期研修を行いましたが、精神科のみは別の病院で研修を受けました。しかし、その精神科の病院で経験したのは、実家の食堂並みのばたばた感と、その結果回復し地域社会へ戻る患者さんの表情でした。
そして、その表情は、実家の食堂に来て喜びの表情をしているお客さんにつながるものがある、と思わざるを得ませんでした。長く大学にいた鴫原は、なんだか本当に久しぶりにばたばたする現場と、回復した表情やしぐさを目撃し、関わり、何とも言えないような気持ちで、気が付けば精神科医になっていました。

ある高校野球の監督が、「生徒を教育しようとするうちは勝てない、むしろそれをやめるようになってから試合に勝てるようになった」と言っているのを聞いたことがあります。また、鴫原の両親も「理屈を言って作る料理はおいしくない」と言います。現実は、理路より先に起こります。いい現実を作り出そうとすること・結果をいいものにすること、とはいい理路を作ることではないということを最近鴫原は一層意識するようになりました。決して理路整然とすることやシステムを構築するのが悪いと言っているわけではありません。むしろ、いい現実を作ることにどのように理路が関われるのか、関わったほうがいいのかを考えて実践していきたいと思います。
あれほどまでにやっつけ仕事を嫌い、理路整然さにあこがれたはずだったのに、回復した精神科患者の表情やしぐさをきっかけに両親と同じフィールドで働いているような気がしてなりません。今後も、人間の持つ大きな力を信頼し、その力がいい現実を作りだせるように患者さんやご家族とかかわりを持たせていただき、そして優れた理路を構築していきたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。

(白帝ニュース 令和3年10月)


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