統合失調症のお話

精神科部長 金 鳳虎

統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。思春期から40歳ぐらいまでに発症し、持病として続いていく病気です。原因は、今のところ明らかではありません。生まれながらの素因(ストレスに対する脆さや神経の過敏さ)に社会的要因(日常的なストレスや生活環境)が加わり、神経伝達物質のバランスが崩れることで発症すると考えられています。進学・就職・独立・結婚など人生の大事な時期に発症することが多いとされています。
統合失調症はドーパミンが過剰に分泌することが分かっていますが、臨床現場においてはドーパミンを測ることはできません。統合失調症の診断は、問診を中心に行われます。症状を確認して経過を追って診断を行います。統合失調症の治療は、薬物療法に心理社会的治療を組み合わせて行います。現在では治療薬が非常に進歩し、早期に発見して適切な薬物療法を行うことで、病気をコントロールしながら社会生活を続けられる患者さんが多くなっています。

とはいうものの、依然再発・再燃する患者さんが少なくありません。なぜでしょうか?その原因の一つは「統合失調症」という病気に対する理解が不十分だからだと思います。上述のように統合失調症はドーパミンが過剰に分泌されることが原因ですが、治療薬はいずれもその過剰分泌を抑えることができません。過剰に分泌したドーパミンをブロックすることでドーパミン神経を正常に機能するようにして、症状が消えた状態になります。すると薬を止めたくなることもあるでしょう。そこで高血圧や糖尿病などを対比して考えてみますと、薬を中止すると直ちに血圧や血糖が高くなりますので、自分の体を大事にする患者さんは自ら薬を飲み続けるでしょう。しかし統合失調症の場合は薬を一回や数回飲み忘れたくらいでは直ちに病状に変化が現れることは少ないです。そこでだんだんと飲み忘れる回数が増え、過剰分泌のドーパミンがブロックされなくなり、病気が再発することになります。それに再発する度に薬を再開しても症状が取り切れず、再発前の状態に戻れなくなると言われています。精神科の専門家として、とても歯がゆい思いです。

もし自分が統合失調症になったらどうするでしょうか?と真剣に考えたことがあります。まずは、急性期に於いての幻覚・妄想などの陽性症状やそのあとに続くやる気が出ないなどの陰性症状に効果がある薬を選ぶでしょう。次には、薬の副作用が少ないことを望むでしょう。手が震えるパーキンソニズム、足がむずむずするアカシジア、体の一部が動き続けるジスキネジア、便秘、口渇、眠気、体重増加、高血糖・高脂血症などなど。そして、気になるのは薬を続けることです。飲み薬だと少なくとも365日毎日飲み続ける必要があります。正直、花粉症を持ちながら、服薬がきちんと出来ず、毎年鼻水や目の痒みに苦しめられています。そう考えると私は二週間に一回や、ひと月一回の持効性注射剤を選ぶことでしょう。血中濃度も安定するし、毎日服薬という煩わしさからも解放できます。毎月主治医に会い、近況報告やいろいろ相談もできます。

統合失調症は持病です。高血圧や糖尿病と同じように治療を続けていくことが大事でしょう。また高血圧と糖尿病と違うのは、再発を繰り返すと脳がだんだん縮むことになり、元のレベルに戻れなくなるというもったいない結果に陥ることです。統合失調症患者さんの各人が各々に合った治療法を見つけ、自分らしい人生を歩むことを祈るばかりです。
時代は、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンス!

(白帝ニュース 令和2年8月)


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