時代を乗り越える力

精神科医 多羅尾 陽子

COVID(コビッド)-19(新型コロナウイルス感染症)の流行に伴い学校が休みになって数ヶ月。新学期を挟んでの突然の出来事に子ども達がどんな反応をするか、児童外来を掲げている身としては気になりました。それというのも、私が外来で診ている子どもの多くは、普段から不安が強かったり、初めてのことや予測不能のことに対してパニックになってしまうからです。特に発達障害圏の子は普段の授業でも、例えば午後から雨が降るからと1時間目の算数と5時間目の体育を入れ替えるだけでもパニックを起こしたりします。とにかく予定の変更と予想外の出来事に対しての反応が大きいので、本人も周囲も大変な思いをすることが多いのです。

子ども達にとって唯一嬉しかったのは、あまりに急に学校が休みになったので、3月の時点では先生たちが課題をしっかりと用意できなかったことでした。実際学校のほうはてんやわんやで先生達も突然の事態に困惑し、保護者からの問い合わせには「答えられません」というしかなかったそうです。
更に、学校が休みになるということは子ども達が家にずっといるということですから当然家庭にも変化が起きます。こちらで悲鳴をあげたのは保護者、つまりお父さんやお母さんでした。共働きをしている家庭ならば昼食の問題が出てきますし、在宅ワークになった場合は一日中子どもと一緒に過ごすことになります。更に5月からは予習を含めた課題が沢山追加され、勉強を教える役目も保護者に降ってきました。

これらはみんな子どもに関することですが、これ以外にも世界中の至る所で色んな変化が一度に起きて、毎日報道ではCOVID(コビッド)-19(新型コロナウイルス感染症)に関する情報が流れでこの世の終わりがきたかのような空気が漂う中、子どもたちはどうなってしまうのか、お母さんも私も心配でした。
結果として私のところに通院している子ども達は、誰も大きなパニックを起こしませんでした。3月に配られた課題も、5月に大量に追加された課題もみんな片付けました。毎年夏休みの宿題が終わらない子達も自粛中の課題は片付けていたのです。家庭での様子を聞いてみると、学校から配られたタイムスケジュールに沿って、溜め込むことなく毎日日課として取り組んでいました。自粛のため出かけることを諦めました。普段お目当てのものが外れるとカンシャクを起こす子達もです。近くの公園で遊具を使わずボールをラケットで打ち合うなど接触しない遊びを中心に楽しみました。普段は屋内で飛んだり走ったりして下の階から苦情がくるような子達も、普段以上に騒いだりはしませんでした。聞き分けの苦手な子ども達が、ちゃんと聞き分けできていたのです。自粛が始まった時は気の重かったお母さん達もほっとしていました。

誰も興奮を抑えるような薬を増やすこともなく落ち着いて過ごせたのはきっと子ども達が世界の危機を真剣に受け止めていたからだと思います。みんな何かしら危機感がありました。無邪気で何も知らないわけではなく、子どもなりにしっかりと受け止め、その上で自分たちがやるべきことに真面目に取り組み、6月からの登校再開を迎えたことにお母さん達も私も感銘を受けました。COVID(コビッド)-19(新型コロナウイルス感染症)がなかった世界には当分戻れそうにありませんが、色々ルールが書き変わった世界を生きていく柔軟な力を分けてもらったように感じる今日この頃です。

(白帝ニュース 令和2年7月)


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