目覚めちゃった自我と膨張していく自我

理事長 吉田 弘美

確か、20世紀は自我の覚醒に始まり、自我の確立。そして21世紀に入っては自我の膨張の時期となっているそうです。私の小学校のころにはクラスの名簿なんてすぐに配られてきたし、だれがどこに住んでいるかなんて大体把握していました。電話番号なんて、第三者に聞いても簡単に教えてくれたものでした。個人情報保護法が成立してからでは考えられないことです。本当に昔に比べて個人に焦点が自他ともに向いていると思います。自らの価値観を振りかざし、自らをいつも高く認めてほしい。そうした要求は以前にもあった事ですが、今はそれがとても強く出ている時代に思われます。そうした人々は何を求めているのでしょう。

目覚めちゃった・・・なんて書いたのは、未だに個つまり個人の自由意志があると言うことが明確に証明されていないからです。脳の前頭葉は人間にしかありません。ここは色々な判断を司ります。人が決断を迫られたとき前頭葉にノイズが発生します、この脳内にノイズが出るのは人間だけで、それが何なのかまだ分かっていません。そしてこのノイズの中から突然、「決断」を意味する脳波パルスが飛び出すそうです。そしてこの時、前頭葉が向かうのは「協調」に向かうときに大きく動くそうなのです。そして前頭葉にパルスを引き起こさせる「トリガーは無い」のです。ひょっとしたら、まだ発見されていないのかもしれませんが。つまり全く無の状態からパルスは出ていないのです。誤解してませんでしたか?自分はゼロからバンバンパルスをだしていると。自由意志はリアルな幻想かもしれないのです。そう、そしてそれがあまりにリアルすぎて皆、気が付かないのかも知れません。

今、アメリカで流行中のスラングにwoke、(ウオーク)というのがあります。「目覚める」というwakeの過去分詞で、そこから転じて「社会的正義や人種差別に敏感なこと」を意味します。Woke それ自体は「目覚めた人」ってわけですから素晴らしい事です。ただ現実はそうではありません。あるはずのない「絶対的な正義」を揚げ、自分と異なる意見の人や何もしない人または大らかな意見の人を強く非難するよう風潮が「wokeな人」に出てきています。その流れの先にあるのが「キャンセルカルチャー」です。キャンセルとは「いらない」という意味です。著名人やインフルエンサーの過去の発言などを題材に時代背景や前後の文脈などは無視し徹底的に糾弾するという流れです。自分の価値観に合わなかったり、どこか気にいらないところがあれば「不快」というレッテルを張り受け入れない。理由がさしてあるわけでもなく自分が不快だからで片づける。現代は先にも書きましたが「自我の膨張」といわれます。気に入らないものを受け入れず糾弾し続ける先にあるのはどんな状態なのでしょう。私にはそれが楽しいとも思えませんし、それが成功には程遠いものに見えて仕方ありません。自我が確立し膨張していけばいくほど世界がとてもとても狭くなっていくのをどうしてみんなは気づかないのでしょうか。

(白帝ニュース 令和元年12月)


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