手を洗おう。

内科部長 山田 貴章

院内感染予防の父、ゼンメルヴァイス先生のお話をしたいと思います。
ゼンメルヴァイス先生は、1818年生まれのハンガリー人の産科医師で、19世紀のウィーンで活躍されました。出産後の産褥熱でお亡くなりになる女性が多かった時代です。勤務しておられた病院(現在のウィーン医科大学)で手洗いを励行し、産褥熱による患者さんの死亡率を劇的に低下させます。患者さんや医療従事者の生命を守るために命がけでお仕事をされた立派な方でした。

しかし、素晴らしい成果をあげたにもかかわらず、医学界から追放されてしまいます。
その頃は、まだ感染症の概念が確立しておらず、細菌によって産褥熱がおきるということは分かっていませんでした。手洗いで産褥熱を防ぐことができると実証することができても、なぜなのかは説明できなかったのです。そこで、それがなにかは分からなくても、手に「なにか」が付着していて、医師の手がそれを媒介して産褥熱をおこすという仮説を立てます。その「なにか」を除去・不活化するためには単なる水で洗うだけでは不充分と考え、化学薬品を使用した手洗いを普及させようと努力を続けたのでした。

けれども、この考えを医師たちが受容れることはできませんでした。それが正しいなら、病気をひきおこしているのは医師ということになるからです。認めることは自尊心が許さなかったのです。
結局、その偉業が理解されたのは、それから数十年経ったゼンメルヴァイス先生の死後のことでした。医学の進歩とともに細菌感染に対する研究も進み、どうすれば感染を防止できるか対策も確立されました。現在、手洗いは標準予防策の基本として常識的なものとなっています。
なお、犬山病院では、手洗いはもちろん、院内感染対策はしっかりとられていますからご安心ください。
さて、このセンメルヴァイス先生のお話から思うことを2つ述べてみます。

健康を守るために大切なことは、あきらめずに続ける強い意志を持ちたいと思います。しばしばなかなか分かってもらえません。こういうとき、正面から訴えるのがよいとは限りません。時間と手間が必要かもしれません。強く言ってしまうと逆効果なときもあります。作戦を練り、相手や状況に応じて柔軟に対応できるようでありたいです。
また、たとえ自分に都合が悪いことであっても、大切なことなら受容れる姿勢を忘れないようにしたいです。認めたくない理由にもいろいろあると思います。自分の信条に反することであったり、忙しくてかかわりたくないというときもあるかもしれません。しかし、無視したり排除してしまうのではなく、相手の言葉に耳を傾けるようにしていきたいと思います。
もうしばらくすると、今年もまた感染性胃腸炎やインフルエンザが流行する季節がやってきます。ご自分やまわりの方の健康を守るために、どうか手洗いをしっかりお願いします。また、手を洗うとき、ゼンメルヴァイス先生のことをちょっと思いだしていただけると幸いです。 

(白帝ニュース 令和元年9月)


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