地域で暮らす、普通に暮らす

院長   高沢 悟

白帝ニュースをいつもお読みいただき、ありがとうございます。今回は犬山病院の地域連携・病院連携の取り組みについて、少しご紹介したいと思います。
ご存知のように、わが国は今地域医療の充実を優先課題として医療施策を進めています。これは超高齢化社会を迎えるとともに増大する医療費など社会保障費を抑制しなければならないという医療経済上の側面もありますが、特に認知症の増加に対応して、病気になっても住み慣れた同じ環境で生活ができるようにという、地域で支える社会の構築という大きな方針に沿ったものでもあります。精神医療・福祉の分野では、平成16年に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が発表され、入院中心から地域生活中心へという流れで地域移行政策がとられてきてはいますが、現実にはなかなか進んでいるとは言えません。そもそも長期入院を余儀なくされてきた患者さんにとっては、何処が「住み慣れた」「仲間と暮らす」場所なのか、よく解らなくなってしまっています。それでは、現実にどうすれば安心できる生活を維持できるでしょうか。

医学が進歩し、がんをはじめ多くの病気は必ずしも命を落とすものではなくなってきました。治療を続けながら普通の生活をすることが可能となったわけです。精神科領域でも単に症状をなくすだけでなく、QOLを重視した治療イメージ、リカバリーの重要性が強調され、その人らしい生活を実現し、幸福を追求することこそが治療の目標になってきています。認知症で入院を余儀なくされている方も、普通に身体の病気も治療できることが求められています。すでに地域生活を送っておられる方は当然ですが、いつでも適切な医療を受けられるのは、国民として当然の権利といえます。しかし、精神科の病院にはそれほど多くの医療機器が設置されていませんし、精神科医は内科や外科の先生のようには身体の病気を診ることができません。検査も治療もどうしても手薄になってしまいます。そこで重要になるのが地域連携・病院連携です。

かつては精神科疾患があるというだけでなかなか診察や入院をさせてもらえなかった時代もありましたが、平成23年に精神の障害が320万人を突破、がんや心・血管性疾患、糖尿病などを超えて増加し、5大疾病に精神障害が加わったことで「国民病」と云う認識が持たれ、健康教育の成果も相まって、今では総合病院の先生も開業医の先生も、とても協力的に診てくださるようになってきました。
犬山病院としても愛知県尾北医師会あるいはその犬山支部会、総合病院との連携の会などに顔を出させていただいています。同じ犬山市内にある総合犬山中央病院とは連携医療機関として登録させていただいていますし、さくら総合病院ともパートナーシップ医療機関の契約を交わし、日頃から多くの連携をさせていただいています。また、今年度からは県の事業として「精神・身体合併症連携推進事業」に加わり、江南厚生病院の救命救急センターとの双方向的連携パス活用の試みが開始されました。この事業の背景には、自殺企図者の救急搬送が増加しその再発予防には精神科医の関与が有効という知見が全国的にも蓄積されているという経緯もあるようです。救急の先生方の日頃の仕事ぶりには頭が下がりますが、それは精神の障害がある人たちが地域での生活を送れるようになった現れでもあると思います。他にも小牧市、春日井市、さらに岐阜県の近隣の総合病院とも日頃より密な連携を保ち、ネットワークを構築しています。地域の精神科医療の中核として役立つための努力ももちろん重要ですが、犬山病院自体も地域の医療機関としっかりとタッグを組んで、当院の利用者の方が必要な医療を必要な時に受けられ、安心して療養に取り組んでいただけるための連携を更に強めてゆきたいと思います。他職種とのチーム医療の重要性が強調される昨今ですが、その基本にあるのは何よりも、精神科医と身体を診る医師同士の良好な連携と協働、コミュニケーションではないかと思います。


(白帝ニュース平成28年7月)


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