「もう大丈夫ですよ」と云えるためには
副理事長 高沢 悟

私は平成24年4月よりに犬山病院に赴任してきましたが、同時に当院の医療安全管理委員会の委員長という重要な仕事を務めさせて戴いています。
犬山病院では、診療部、看護部、事務部に所属する全部署から専任の委員を任命し、毎月医療安全管理委員会を開催して、それぞれに出されるインシデント(ヒヤリ・ハット)、アクシデント(事故報告)レポートを集計、分析し検討を行っています。また、問題となった個々の事例について、詳細な報告の上、振り返りとその具体的な対策などを議論し、今後の事故防止に役立てるほか、年数回の職員の全体研修を行い、医療安全管理分野の基礎知識と意識の向上に努めています。また、当院は平成10年11月に日本医療機能評価機構の認定を取得していますが、この認定をうけるためには、上記の医療安全管理体制が十分整っているかどうかの厳しいチェックを経なくてはなりません。
当院では委員会とは別に、医療安全管理セクションを設置し、定期的な全部署の安全確認やマニュアルの整備・更新などの他、事例報告で話し合われた課題について、課題の達成度や対策が現場で適切に行われているか等のチェックを行っています。
病院に限らず医療全般にいえることですが、医療行為は必ず高いリスクを伴うものです。従って私たちの日々の業務はいわばリスクと背中あわせにしかあり得ないものだという前提があります。
一方、安全管理業務では人間というものは必ず過ちを起こす(ヒューマン・エラーを持つ)存在であるという前提で人間の行動を考えます。そして「ある人が間違ったことは、自分も必ず間違う」という原則があると云われています。

病院は元来、体調が悪く気持ちの面でも一杯一杯の方が訪れる場所ですので、患者さん本人はもとより御家族や付き添って来られる方も、沢山の気がかりを抱えていらっしゃいます。ですから、病院の入口を入った瞬間から(もっと厳密には駐車場に車を止めた瞬間、当院のシャトルバスに乗ったその瞬間から)医療安全管理業務は始まっていると云えます。
そして病院は医療に関した領域(治療、検査、看護、調剤、リハビリに関わること)ばかりでなく、食事や生活のすべて、建物や周囲の環境(衣食住)など、数えきれないほどのファクターの集積の上に成り立っています。
精神科の場合はことさら、患者さんの判断力や行動の制御の面での安全配慮が重要になりますし、症状そのもののリスク(希死念慮やどうしようもない苛立ちや不安など)、薬剤や高齢化の影響による転倒事故や誤嚥のリスクもあれば、医療機関側のミス、例えば投薬のミスや人物確認のミスなど人為的な医療事故もあります。
一般の病院と同様、院内感染やアレルギーの問題などもあり、病院全体ではそれぞれ挙げていたらキリがないほどの膨大なリスク要因があると思います。そしてよく間違われるのが、医療事故と医療安全の違いです。つい先ごろ、厚労省から提出された「医療事故調査制度」が法制化され、医療機関の自浄機能が高まるよう仕組みが作られましたが、医療事故は医療安全のほんの一部の事例にすぎません。
よく言われるのは「1件の重大事故の裏には、29件の軽微な事故があり、その背景には300の重大事故が潜んでいる」という言葉です。人は完璧な存在ではないので必ずエラーをするもので「自分だけは気を付けているから大丈夫」といった例外は存在しないという意識が大切だと云われています。
もう一つ「医療安全には魔法の杖は存在しない」とも言います。つまり、日々の業務の繰り返しの中で、安全に対する意識を「習慣」にし、真面目に几帳面に決まったことを行うしか安全への術はないようです。当院ではKYT(というとカッコいいですが、Kiken Yochi Training:危険予知訓練の頭文字)という産業部門の技術研修を受け、実際の業務に取り入れるなどの試みも行ってきました。
病院外来の壁に掲示し、初診で来院された方にお渡ししている「病院長からのメッセージ」にはこう書かれています。“病院の玄関にたどり着くまでいろいろなご苦労があったと思いますが、もう大丈夫です。私たちができる限りのことは協力させていただきますのでご安心ください。”
このメッセージを、職員全員が胸を張って言えるように、そしてその期待に応えられるように、当院では一層「医療安全管理」の意識を高め、日々の地道な努力をしてゆかなくてはならないと思います。
そして、来院された方の様々な気づき、「あれっ、大丈夫かな」というご意見がありましたら、遠慮なく投書箱や病院スタッフに是非教えてください。宜しくお願いします。


(白帝ニュース平成27年7月)


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