病棟と外来の新たな開所にあたり
理事長 吉田 弘美

おかげさまで当院は今年で開院50周年という節目の年を迎えることができました。50年といえば半世紀です。それは、かなりの時の重さです。そのせいもあって、一番古い病棟と次に古い病棟が、適正な機能を維持することが難しくなりました。また外来部門及び検査部門そして歯科部門の機能の充実を図るためこのたび、その各部門と古い二つの病棟を新しくすることができました。その構成は一階に外来、検査部門、歯科、ワーカー面接室が新しい棟に移ります。二階、三階は病棟になります。新しい棟の名称は今のところ本館という事になっています。そして西館とはきれいな弧を描いた渡り廊下で接続されています。
新しい建物を作る機会などというのはそうそうあるものではありません。色々な意味で大変なのです。でも大変なのだけど、とても色々なことを私たちに勉強させてくれるのも事実です。それは各部署や職種でも違ってきます。もちろん私もその例にもれず、今回も、とてもよい問題が私のところにやってきてくれました。皆さんは最先端の癌治療の方法や農薬の散布の仕方というのを聞いたことがありますか。この二つ、とても考え方がよく似ているのです。たとえばです。田んぼが10枚あるとしますと、農薬をまくのは大体8枚くらいまでにして、あと二枚には農薬散布をしません。すると、どんなことが起きるかというと農薬の標的なる虫たちは残りの2枚の農薬を散布されていない田んぼに行くわけです。当然ですよね。そうすると2枚の田んぼは壊滅的になるのかと言うと、そんなことはなく10枚の田んぼ全体でみるといい具合に収穫高が増えるそうで。さらに2枚分の農薬代もいりません。癌の治療もこれに似て、今までは親の仇よろしく、何でもかんでもとにかく疑わしいところも含め(予防切除なんて言葉も使いながら)とにかく全て取り去るもしくは、薬物、放射線で徹底的に死滅させるのを目標としてきました。しかし、これはかなり体に負担のかかるのも事実です。そこで、登場した治療法があります。体に悪さをしない程度で止めておく。つまり癌と一緒に生きることなのです。どうですか、この二つとても似ていると思いませんか。窮鼠だって猫を噛んじゃうのです。人間だって火事場の馬鹿力というのがありますね。追いつめること。これが一番悪い事だと思います。兵法にもどこかに逃げ場を作っておかないといけない、勝ちすぎは良い事ではないとあります。そう考えると医療って逃げる場所だと思いませんか。特に精神科は病態がない、原因がまだ解明されていない分最後の逃げ場所(避難所)でなければと思います。
さて、なぜこんな話をしたかというと、新しい建物を作る時って、それはそれは多くの時間をかけて打ち合わせをします。その時になのですが、当院の職員は、善意とは思うのですが、相手をかなり追いつめてしまうのです。本当、私はとても恥ずかしいのだけど、たぶん少しでも安くと、考えてくれているからだと思うのです。でもいつから「価格が安いという事が正義」になってしまったのでしょう。「安い」ことが大切なのではありません。私の小学生のころ1960年代頃まではセーターなどというものは高級品でした。母が何度も編み直しをしてくれたものでした。昨今、巷にあふれる衣料品はただ単に余剰で過剰なる故に安く販売さえているだけです。だからそこには母が編み直しをしてくれたセーターのような力はないのです。
お互い相手を追いつめてしまったら、せっかく生まれた人と人を繋げてくれる機会が雪のように消えてしまうでしょう。人と人が繋がる大切さ、これを忘れては医療は出来ません。

(白帝ニュース平成27年3月)


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