職場のメンタルヘルスに関するストレスチェック制度
…医療現場の効果的なコミュニケーション促進に向けて
副院長 井上眞人

昨年6月、「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が公布され、職場の定期健診にメンタルヘルスに関するチェックリストが義務づけられることとなりました(50人未満の事業場は努力義務)。本年12月の施行に向けて、昨年9月厚生労働省の「ストレスチェック項目等に関する専門検討会」より「中間とりまとめ」が公表されていましたが、さらに、「ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会」および、「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会」による提言が加えられ、昨年12月に「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書」が公表されました。
ストレスチェックの目的は、「主に一次予防(本人のストレスへの気づきと対処の支援及び職場環境等の改善)であり、副次的に二次予防(メンタルヘルス不調への気づきと対応)に繋がり得るものと整理することが適当である。」とされています。
ストレスチェックの項目として、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」、および、「周囲のサポート」の3領域に関する内容が必要であり、国が示す「標準的な検査項目」として旧労働省の委託研究により作成された「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)が適当とされました。
(中央労働災害防止協会のHP :http://www.jisha.or.jp/web_chk/strs/index.html)などで、オンラインで自己チェックできる仕組みがあります。)
なお、中小規模事業場における実施に際し、さらに調査の簡略化が求められることが想定され、重要なものとして以下の項目の選択が示唆されています。

「仕事のストレス要因」に関して、
「仕事の負担(量);『非常にたくさんの仕事をしなければならない』『時間内に仕事が処理しきれない』『一生懸命働かなければならない』,
「仕事のコントロール度;『自分のペースで仕事ができる』『自分で仕事の順番・やり方を決めることができる』『職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる』、それぞれの状況を問う6項目。
「心身のストレス反応」に関しては、
ストレス反応を鋭敏にとらえる際に効率的とされる、
「疲労;『ひどく疲れた』『へとへとだ』『だるい』」
「不安;『気がはりつめている』『不安だ』『落ち着かない』」
「抑うつ;『ゆううつだ』『何をするもの面倒だ』『気分が晴れない』」の9項目に、
『食欲がない』『よく眠れない』の2項目が、臨床的にメンタルヘルス不調と密接に関連があるという意見から総合的な検討により加えられています。
「周囲のサポート」に関して、
「上司」、および、「職場の同僚」それぞれの立場の者に対して、
『どのくらい気軽に話ができるか』『困った時どれくい頼りになるか』『個人的な問題を話したら,どれくらい聞いてくれるか』を問う6項目。

日頃、精神保健福祉サービス利用者の方々に、私たちは誰もが心の脆さを有していて、生活上の変化や人間関係など、日々の様々な出来事による「こころ」の負担が大きくなったときに精神的破綻が生じるという、「ストレス脆弱性モデル」についてお伝えしておりますが、私たち援助者自身もまた、一労働者として自分自身の「こころ」の健康をふり返ることによるストレスへの気付きと、対処への支援を必要としています。
援助行動等を行う者の傾向として、「自分を大切にしていない」といった特徴が多く見受けられること、また、コミュニケーションに関する心理検査を用いた調査により、「従順・協調的(人に合わせる自我)」が高いと、「過剰適応」と言われ、自己主張ができず、自我の葛藤状態を招きやすいことや、そのような過剰適応状態にある者は、援助行動等を他者評価・期待といった外的基準への適応のために用いている可能性が考えられることなどが報告*)されています。
昨年12月の当院内報巻頭言において、当院高沢副理事長より、「『見える化』」の後ろに潜むもの」と題し、「情報過多の中、社会全体が「精神医療化」しマニュアル化され分類されてしまう現代においては、私たち医療従事者は自覚的に、常に行われていることは相対的な性質を含むものだと考えなくてはいけません。」との警鐘が鳴らされました。日々の援助過程の実践の場で、私たちが何を感じ、何を考え、どのような行動をとっているのかを、精神保健福祉領域の援助者であるとともに地域社会の一員として、常に自らをふり返り、互いのコミュニケーションにおける葛藤状態を自覚し、外的基準への適応に過度に巻き込まれることなく、地域の精神保健活動に努めていきたいと考えております。皆様のお力添えを今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(*);金築智美,他:向社会的行動と過剰適応の組み合わせにおける不合理な信念および精神的健康度の違い.パーソナリティ研究18:237-240,2010 より)

(白帝ニュース平成27年2月)


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