園芸療法について
地域医療・外来診療部長 杉浦 琢

 
今年度より、地域医療・外来診療部長を拝命しました杉浦です。役職名の通り、当院所在の犬山の方々を始め近隣の皆様のご期待に添える病院にすることと、入院病棟を持つ病院としての外来診療機能をより高めていくことが、使命と思っております。よろしくお願い申し上げます。

精神療法。その中には認知行動療法、精神分析療法、芸術療法などがあります。研修医の頃に、一通り芸術療法、精神分析療法、内観療法などに触れる機会がありました。中でもサイコドラマ(心理劇)はとても印象的でした。元来演劇は好きだったのですが、大変構造化されているにもかかわらず、多様性や自由も担保されているという点が、とても興味深く感じました。
しかし当院ではサイコドラマはやっていないので、今回はその中でも当院でもやっている園芸(療法)について述べたいと思います。
当院での患者さんとのかかわりの上では、作業療法のひとつとして、園芸というプログラムがあります。時々遠くから見ていると、一所懸命やっている方、自分のペースでやっている方、ひたすら見ている方、スタッフと喋っている方、いろんな方がいらっしゃいます。
みなさんバラバラですが、小春日和の中、何となく畑を中心に緩やかにまとまっている。その光景はとても絵になります。
主にアメリカで発展した園芸療法が本格的に日本に紹介されて20年余りが経ちます。この間に、数多くの研修・研究グループが結成され、医療・福祉関係の諸施設で様々な実践活動がみられるようになり、日本における園芸療法に著しい進展がみられました。
今日における園芸療法の定義や解釈はさまざまですが、日本園芸療法学会などでは、園芸療法とその実践者である園芸療法士は次のように考えられています。
すなわち、園芸療法とは、医療や福祉の領域で支援を必要とする人たち(治療的かかわりを要する人々)の適応力などを、園芸を通して支援する活動であり、園芸療法士とは、これを実践するために欠かせない豊かな人間性と高度の知識・技術をもつ専門家、としています。
花や緑は人々の心を和ませ、安らぎや快感、活力、生気を与え、人と人とを近づけ、交流の場を創り出します。草むしりは時に人を夢中にさせますし、土いじりは時に泥団子や砂山、トンネルなどを日が暮れるまで作っていた童心を思い起こさせます。
わが国の高齢化社会に伴う問題や、時代の変化とともに急増する現代人のさまざまなこころの病へのケア、リハビリテーションを必要とする人々への支援など、ひとりひとりの切り離せないこころとからだの健康や生活の質の改善のために、園芸(療法)は積極的に活用されるべき療法と考えられます。
僭越ですが、私はよくうつ病の回復期などの精神科治療について、ご家族の方には草花を育てるようにしてくださいと説明させて頂いています。早く育てと上から引っ張っても、ちぎれるばかりでうまく育ちません。時に陽に当て、時に風雨を避け、適度な水と肥やしをあげることで、ゆっくりですが確かに育ってきます。それを愛でて、よろこびを感じることで、また世話をしようという気になりますよね。そのくらいのペースが精神科の治療にはよいのではないかと思いますよ、と。
園芸(療法)は、極めて細部に至るまで構造化されている認知行動療法をやっている私とは、対極にあるような治療法です。しかし重要なのは、どんな治療法においても、構造化されている部分はしっかりとしつつも、構造化されていない部分をどうアレンジするかが治療者の技量になってくると思います。だからこそ園芸療法には大変魅力を感じます。そして、治療者として熟達するためにも、私自身の精神保健のためにも(笑)、とても有意義な治療法だと思うのです。
そういうわけで、いつも私の書斎には植物があります。また同僚の先生が華道に精通されているので、教えて頂こうかとも思っています。最近では假屋崎省吾さんのようなフローリストという職業も脚光を浴びていますね。華道を園芸療法という観点からいろいろと検証してみるのも興味深いと思います。
みなさんもまずホームセンターに行って、300円くらいで花を買って育ててみてください。きっといろんな発見があるのではと思います。

(白帝ニュース平成26年5月)


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