第55回日本病院・地域精神医学会愛知総会を終えて

副理事長 高沢 悟

先の10月13日(土)に名古屋大学豊田講堂にて、当院理事長の吉田弘美を大会長として、第55回日本病院・地域精神医学会総会が開催されました。当日は天候にも恵まれ、620名の方の参加を得て盛会のうちに終了することができました。
この学会は第55回とあるように大変歴史のある学会です。奇しくも当院理事長の生年の昭和32年(1957年)に「病院精神医学懇話会」という名称で発足したこの会は、大学の研究主体の学会活動に対し、当時まだ病院中心ではありましたが実際の臨床で患者さんに接する現場での実践的研究や報告を重視する学会として発足しました。ちょうどわが国ではその2年前の1955年に最初の抗精神病薬であるクロルプロマジンが薬価収載され薬物療法が全国に広まっていった時でした(薬物療法の歴史がこんなに短いことを知っていましたか?)。また、1964年にはライシャワー駐日米国大使刺傷事件が起こり、「精神障害者野放し論」などが声高に叫ばれ、精神障害者を取り巻く状況は危機的な混乱の中にありました。昭和43年(1968年)の第12回大会から会は「日本病院精神医学会」と改称しましたが、学園紛争の嵐が巻き起こる中、精神神経学会の流会(第66回、金沢)、精神科病院内の不祥事も続発しこの学会も大きく揺れた時代でした。ちなみに理事会が紛糾して中止となった13回総会の2年後、第14回総会はここ名古屋で行われています。昭和58年(1983年)に学会は「病院・地域精神医学会」と再び改称します。この学会は設立当初から精神科病院の開放化と人権の尊重を重んじ、地域で精神障害者が生活するべきとの主張をしてきましたが、ここに明確に「地域精神保健・医療」という視点を打ち出しました。今でこそ地域医療を推進している日本ですが、当時の精神科医療は隔離中心の考え方が主流で、今以上に病院中心でした。むしろ現在の地域医療への転換がなされた一つの要因として長きにわたるこの学会の活動があったといえます。
そのような歴史ある学会総会の主催を託されたことは大変名誉なことでしたが、その経緯は次のようなものでした。昨年の東日本大震災と福島の原発災害で予定していた福島、郡山での総会開催が不可能となり、東海・中部の学会理事の先生から当院理事長に打診があったのが昨年の7月のことでした。私の実家も被災地の端くれだったので福島がどうなっているかは想像できましたが、理事長から相談されたときには正直私は迷いました。しかし、この10年ほど途切れることなく演題を出し続けている犬山病院の実績が評価されたことは喜ぶべきことでしたし、ちょうど私も犬山病院にお世話になることになりそうだったので、これは何かの因縁だと思いました。しかし、この学会は皆が手弁当で作り上げるという伝統があり、主催するとなったら職員の方々の負担も並大抵ではありません。また、往年のこわ~い先生方が大勢関わっている学会なのを知っていましたので私は本当に大変悩みました。私を決意させたのは沖縄の総会の時に理事長が発した言葉でした。理事長は「やらないで後悔するよりも、やって後悔したほうが遥かに自分で納得できる。だからお受けすることにします」と挨拶したのでした。このチャレンジ精神、やってみて考えよう、これが私たちのスタンスなんだ、と私は理解しました。
そして今ではこの総会を引き受けて本当によかったと思っています。まず、運営委員には平成6年の第37回大会の事務局、運営委員の経験を持つ大ベテランの先生方を含む、沢山の方に加わって戴き本当に助けて戴きました。当日も運営委員の方々だけでなく、各関係機関からの多くの方にお手伝いをして戴きました。愛知県下のいろいろな方と知り合えて一緒に何かをやり遂げたことは、今後、犬山病院にとっても大きな財産になると確信しています。そして大変煩雑な事務局を引き受けてくださった末続教育部長以下、事務局スタッフの皆さん、また前日・当日と本当によく動いて下さったスタッフの方々、一方で手薄になった病院を事故もなくいつも通りに業務を行って立派に留守を守ってくださった皆さん、当院のすべての職員全員が一丸となって力を尽くしてくれたお蔭で今回の総会の成功が実現したと思っています。私は今回の皆さんの働きぶりを見ていて、犬山病院は何があっても大丈夫だ、と心底思えました。これはまた私の財産でもあり皆さんの自信にも繋がったことだと思っています。また、この学会は当事者の方や家族の方が多く参加し演題を出すことでも伝統がありますが、当院・福祉施設からも多数の参加者がありました。中には会場で発言して下さったメンバーさんもいて、スタッフも思いがけない皆さんの力を垣間見ることができました。学会で話題になったことはどれも重要で、私たちが今日からでも毎日の臨床や業務の中で考えてゆかねばならないことばかりでしたし、医療サービスを受ける患者さんや家族の方は、自分たちで発言し、変えてゆくことの重要性を一層意識できたのではないかと思います。ともかく皆さんのお蔭で成功裡に総会を終えることができました。

お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

(白帝ニュース平成24年11月)


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