病気を理解するには・・・

看護部長 永田 英樹

ご存知の方もおられるかと思いますが、「幻聴妄想かるた」というものがあります。
東京の共同作業所「ハーモニー」(同世田谷区)が平成20年に制作し、色々なメディアに取り上げられて広く知られています。
幻聴や妄想をかるたの読み札としたものです。絵札にはそれぞれの人が絵を描いています。色々な幻聴・妄想体験が綴られています。
かるた形式なので読み札・絵札があって札を取っていくものですが、それ以外にも数種の遊び方が紹介されています。利用される場所も院内・施設の利用はもとより看護学生の教材とか医療関係者の研修とかに利用されているそうです。少し読み札を紹介しますと、
あ:ありがとう幻聴さん ありがとう大野さん イライラする
く:区役所で不審な行動していたら「事件の犯人をつかまえろ」と警察官がさけんでいた
に:にわとりになった弟と父親
ら:ラジオから自分のことが言われている
等々。
当事者にとってやや不快な思いをしていると思われる札を選んでみました。ネガティブな現象をかるたという形に視覚化されポジティブな方向性を生み出していると思います。
私たちも入院されている方から幻聴や妄想の話は色々と聴きます。内容は理解できそうな範疇から荒唐無稽なおおよそ理解が難しいものもあり、絶対にそんなことあるはずもないと頭の中では思っても、直接否定することはせず、「フムフム」と頷いています。
患者さん自身は幻聴・妄想の内容の多くが自分だけのもので、自身にとっては、幻聴・妄想は包み隠したい部分もあると思われますし、内容によっては独り悩むこともあると思われます。私たちは幻聴や妄想体験がないため、患者さんの様々な体験を聴いても十分な理解はできません。しかし、耳で聴いた内容をカルテに記入し、再度見直したりしてその体験を感じようと努めています。
私たちも患者さんが幻聴や妄想で苦しんでいることをもっと主観的に感じられる方法があれば良いと思います(某製薬会社にバーチャルハルシネーションという幻聴・妄想の疑似体験ができる機械があります)、そして、患者さんが苦しんでいる状況を少しでも理解できるようになればと思います。
ハーモニーでは、かるたとしたことで主観的なものが客観的に見えて当事者にとっては他の人も同じような経験をしているのかと、安心される場合があったと思います。
かるたに付随された解説書には当事者の体験が文章として述べられています。幻聴などがあるが他の人と変わりのない人間であることの訴えや同じような仲間と集え、居場所ができて良かったなどと綴られています。
話は変わりますが、今回、吉田名誉院長の案で「統合失調症との付き合い方」という冊子ができました。これは、各家庭に置いてある家庭の看護という本が、家庭内で起きた急な病気に、まずは家族でも対処できるように書かれたものです。それに習い精神科の家庭看護を書いてみては、との発想で作成されました。冊子は統合失調症に関して、特殊な病気ではないこと、その病気のメカニズムや急性期・回復期等の対処の仕方などが分かりやすく書かれています。視覚的にも受け止めやすくなっていると思います。
今後も、同じような思い、悩みを持っているみなさんが集い、話せる機会・場所の提供をすると共に、病気を誰にでも理解し易くし、誰もが精神疾患が特別なものではないという捉え方ができるようにしていきたいと思います。

(白帝ニュース平成24年9月)


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