「これからの仕事はドラッカーの精神でやろう」

 事務部次長 中島 久志

犬山病院とP.F.ドラッカー(経営思想家、1909~2005)の出会い。それは去年の夏、当院創立者である吉田弘道名誉院長が自宅の書架からドラッカーの著作を取り出され、十数年振りに読み返されたことでした。巷では、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)がベストセラーになり、マスコミでも話題になり始めた頃のことです。名誉院長は、彼のマネジメント理論は普遍的で、現在も十分活用できると確信され、これを病院の運営に活かさない手はないと考えられました。
秋には、各部署のリーダーを集めて、名誉院長自らが講師を務めての勉強会が行われました。事前に配布された『【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則』(ダイヤモンド社)などに目を通してはいたものの、一朝一夕に理解できるものではありません。その後も開かれる勉強会と並行して、それぞれの部署において、手探りでの実践が始まりました。
われわれの部署では、毎朝のミーティングで、各自が今日の仕事の目標を発表することからスタートしました。今は目的意識を持ってできていますが、当初は説明が十分でなかったこともあって、スタッフは「言わされている」感がより多く残り、効果はいまひとつ感じとることができなかったようです。そこで、自分でも本を読んだり、ネットで調べたりして得たドラッカーに関する基本的な情報を、機会を見つけてはスタッフに伝えるようにしました。
まず、ドラッカーの経歴は彼の思想を理解する上で重要だと思い、伝えました。――古い19世紀的ヨーロッパ社会原理の崩壊とナチスの勃興に直面し、母国オーストリアからドイツ、英国を経て米国に逃れた。その過程で、ブルジョア資本主義、マルクス社会主義、全体主義のいずれでも人を幸せにできないと考えるに至った。しかし、20世紀の新しい社会原理として登場した巨大企業を米国で目にし、人を幸せにするための組織の運営の方法を探究していくことにした。――
また、名誉院長からお聞きした、ドラッカーの母親が神経科医だったことや8歳の頃にフロイトに会ったことがあるというエピソードは、われわれにとっては、いささかの親近感を抱かせるものでした。
次に、ドラッカーの思想を「人は自分の価値観に従い、自己の強みで社会に貢献する責任があり、それが本当の幸せなのだ」と一言で説明し、「自分の強み」についてスタッフ全員に書き出してもらいました。そして、その「強み」が、各自設定した年間目標達成のためにどのように活かされたかを半年ごとの評価面接で話し合うことにしました。ドラッカーの「自己管理による目標管理こそがマネジメントの哲学である」という考え方を、従来からある当院の評価制度の中で体感してもらおうと考えたわけです。
その後もあちこちで聞きかじった知識を時折披露することで、また、なかには自ら書籍を購入し勉強するスタッフもいて、徐々にではありますが、ドラッカーの考え方がスタッフに浸透しているように思われます。
ところで、ドラッカーは病院のマネジメントについて、どのように記しているのでしょうか。彼の著書、『非営利組織の経営』(ダイヤモンド社)から、いくつかの文章をご紹介します。
非営利組織はミッション(使命)のために存在する
ある病院の救急治療室のミッションである。「われわれのミッションは患者を安心させることである」
非営利組織たるものは、顧客に敬意を払い、彼らにとって価値あることを聞き、彼らの満足を理解することができなければならない。万が一にも、仕えるべき相手に、自らの考えを押しつけることがあってはならない
企業と非営利組織の最大の違いは、人のマネジメントと利害関係者のマネジメントにある。企業においても、人は報酬だけで動機づけされるわけではないことが明らかである。何か他のものが必要である。ところが、非営利組織では、その何かほかのものの果たす役割が企業よりもはるかに大きい。
ドラッカーが残したこれらの思想を中小企業診断士・星多絵子氏が、『ドラッカーの聴診器~医療にも体系的なマネジメントを~』で噛み砕いて説明しています。要約すると以下のようになります。――病院を永続して経営することが、患者や地域住民を安心させる使命につながる。経営を安定させるためには、マーケティングにより患者ニーズを的確に把握することが必要だ。また、病院が組織を永続させるためには、人材を育成し、次の世代に橋渡しをしていかなければならない。病院にとって人材は財産であり、人材が抱いている使命感が組織を支えている。――
名誉院長による勉強会は、ほぼ月1回のペースで行われてきました。5月からは、勉強会で理解を深めたリーダーが、交代で講師役を務める新しい段階にステップアップしました。「継続は力なり」です。日々「真摯」に取り組んでいきます。

(白帝ニュース平成23年7月)


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