発達障害と抑うつ

診療部長 日比野 良弘

今年の5月に広島で日本精神神経学会が開催されました。専門医制度が発足したために十数年振りに私も参加しました。参加者は多く人気の講演会場は立ち見がでるほどでした。プログラムの中でもうつ病関連に関心が高かったようです。
さて平成17年に施行された発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されます。
人間は、生まれてから(近年は胎生期からといわれる)知覚を通して様々な刺激を受けながら精神機能を発達させていきます。発達障害というのは生まれつき中枢神経系(脳)がなめらかに働かないために、精神機能の発達にばらつき(アンバランス)が生じ、認識や行動に不都合をきたすと考えられています。
〈広汎性発達障害〉とは、自閉症、アスペルガー症候群の他、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含む総称です。〈自閉症〉とは、①対人関係の障害②コミュニケーションの障害③限定した常同的な興味、行動および活動(こだわり)、の特徴をもつ障害で3歳までには何らかの症状がみられます。最近では、症状が軽くても自閉症と同質の障害がある場合、自閉症スペクトラムと呼ばれることもあります。〈アスペルガー症候群〉とは対人関係の障害があり、限定した常同的な興味、行動および活動をするという特徴は、自閉症と共通した障害ですが明らかな認知の発達、言語の遅れは伴いません。アインシュタインや織田信長がそうだったといわれます。〈学習障害〉はLDと略されたりします。全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行なったりすることに著しい困難がある状態をいいます。俳優のトム・クルーズはLDと言われています。〈注意欠陥多動性障害〉はADHDとも表記されます。注意持続の欠如もしくは、その子供の年齢や発達レベルに見合わない多動性や衝動性、あるいはその両方が特徴で症状は通常7歳以前にあらわれます。具体的には①多動性(おしゃべりが止まらない、待つことが苦手でうろうろする)②注意力散漫(うっかりして同じ間違いをよく繰り返す)③衝動性(約束や決まり事を守れないことや、せっかちでいらいらしてしまうことがよくある)の特徴があります。有名人では黒柳徹子さんがそうだと言われます。また一般的に多動や不注意といった様子が目立つのは学齢期ですが、思春期以降はこういった症状が目立たなくなるともいわれています。
以前は、知的な遅れを伴わない高機能自閉症、アスペルガー症候群、LD、ADHDなどを知的障害が軽度であるとして「軽度発達障害」と称することがありましたが、社会生活上の「障害そのものが軽度」と誤解される可能性を危惧して平成19年3月に文部科学省から「軽度発達障害」という表現を原則使用しない旨の通達が出されました。ただしこの「軽度発達障害」は発達障害の専門家によれば①予想以上に高い割合で存在し②ストレス耐性が弱く、不利な環境に対して反応を起こしやすく③就労と社会適応が難しいとされます。
最近、児童精神医学を専攻する精神科クリニックの先生から「大人の発達障害」の報告が注目されています。「(躁)うつ病」「パニック障害」「社会不安障害」「強迫性障害」などの診断で他の医療機関で何年も症状が改善しない患者さんの背後に「軽度発達障害」の特徴に合致する患者さんが多く見られるとの報告です。すなわち発達障害の二次的障害と考えられるケースのものです。特徴の類似点は①マイペース②場の空気が読めない③こだわりの強さ④タイムスリップ現象などがあると言われます。「発達障害」の診断はかなりの専門性を必要としますが、ある種の適応障害、うつ症状の遷延化、気分の変動性に対して「発達障害」の視点をもつことは児童精神科医以外の精神科医も必要かもしれません。
ところで広島の土産といえば「もみじ饅頭」ですが、最近医局の某先生が広島遠征の際買ってこられた「桐葉菓」は甘党の私には「赤福餅」に匹敵するおいしさでした。皆様も機会があれば是非どうぞ。

(白帝ニュース平成22年11月)


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