優しさを形にする

副院長 井上 泰弘

「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。」とはハンフリー・ボガートのセリフだそうですが、現代社会で医療従事者ほどこの言葉が当てはまる職業はないのではないでしょうか。医療費はどんどんけずられ、ぎりぎりのマンパワーでどんどん高度化する医療知識と技術についていかねばならず、しかも厳しくなる一方の社会やクライアントからの要求にこたえるには相当に「タフ」でなければいけません。しかし同時に「優しく」なければ何のためにこの仕事をやっているのかもわからなくなります。「タフで優しく」あるためには一体どうしたらいいのでしょうか。
しかし心配はいりません。医療現場では「タフ」であることと「優しさ」は対立するものではないからです(やくざや軍隊では対立するかもしれませんが)。
医療での「タフさ」とは何でしょうか。決して腕力が強いとかどんなクレームにも動じない、いくら忙しくても疲れないなどということではないと思います。基本は知識・技能・経験があって、しかも忍耐強く体力・精神力もあるというのが「タフ」なのではないでしょうか。一方の「優しさ」は言うまでもなく基本中の基本ですが、大事なことはよく話を聞いてあげる、気配りをする、よく説明をするなど当たり前のことをいかにきちんとやるかにかかっていると思います。
問題は知識や技能・経験をいかに優しい医療に結びつけるかです。たとえばある患者さんはくどい訴えを延々と続けてスタッフを疲れさせるかもしれません。しかしそのくどさがどの病気のどの症状によるものだということを理解し、その訴えの下に隠れている不安や緊張・不満や不全感を共感することが出来ればいいケアーにつなげることが出来ます。また自己本位の行動をとるように見える人を単に「わがまま」というレッテルを貼らずにその人の対人関係やコミュニケーションのパターンをみて理解してあげるのは専門家でないとできないことです。このような優しさはどんな事態にもたじろがないという「タフさ」につながると思います。
どんな時にどんな声掛けが有効か、あるいは逆効果かを知るのはやはり専門的知識の領域です。励ましてあげるのがいいのか、それとも話を聞いてあげてつらさを理解してあげるだけのほうがいいのか?あるいは叱咤激励しても行動させてあげたほうがいいのか。そのタイミングはどうなのか。これはやはりプロとしての経験と知識が必要です。
それからコミュニケーションは患者さんとの間だけでなく職員の間においても重要ですね。申し送りがうまくいってなかったら患者さんを不必要に待たせたり不安にしたり不信感を持たせたりしてしまいます。これも「優しく」なるためには大事ですね。
そしてもちろん自分の健康も重要です。健康でないと普段は何とも思わない患者さんの言動がうるさく感じられたり、対応がいつもよりつっけんどんになったりしがちです。
技術や知識・経験は精神的な余裕を作りだすものですが肉体的な余裕も必要なのです。技術と知識・経験そして気配り、コミュニケーションと健康というとこれは「医療安全の心得」にそのまま当てはまります。それもそのはずで「優しい医療」の一番は「安全な医療」に他ならないわけです。
というわけで最初のセリフは「タフでなければ優しくできない。優しくないのはタフではない」という風に(医療現場では)書き換えられるでしょう。「優しくてタフな」医療者を目指していきたいものです。

(白帝ニュース平成22年9月)


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