今回の診療報酬改定について

院長 加藤 荘二

4月に診療報酬の改定がありましたので、精神科に関する主だった変更点を説明します。今回は、救急、産科、小児科、外科等の医療の再建と、病院勤務医の負担の軽減を重点課題として、(1)充実が求められる領域を適切に評価していく視点(2)患者からみて分りやすく、納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点(3)医療と介護の機能分化と連携の推進等を通じて、質が高く効率的な医療を実現する視点(4)効率化の余地があると思われる領域を適正化する視点、の4つの視点から改定が行われ、精神科に関しては、(1)の中で「質の高い精神科(入院)医療等の推進」が挙げられており、以下の項目の新設、見直しが行われました。 精神科急性期入院医療に係る評価
精神科入院基本料の見直し 精神科入院基本料13対1の新設
精神科急性期の特定入院料の引き上げ
身体合併症管理加算の引き上げ
精神科慢性期入院医療に係る評価
精神科地域移行実施加算の評価の引き上げ
非定型抗精神病薬加算の見直し
精神療養病棟入院料への重症度評価の導入
精神科専門的入院医療に係る評価
児童・思春期精神科入院医療管理加算の引き上げ
強度行動障害児に対する入院医療管理加算の新設
重度アルコール依存症入院医療管理加算の新設
摂食障害入院医療管理加算の新設
地域における精神医療の評価
精神科専門療法の見直し 通院精神療法など
認知療法・認知行動療法の新設
精神科デイケア等の見直し
新設項目について、まず認知療法・認知行動療法ですが、当院は既にこの専門外来を実施していましたが、今回「うつ病等の気分障害」に対して厚生労働科学研究班作成のマニュアルに準じて30分以上診察を行った場合、16回を限度に算定できるようになりました。そのため、新たに土曜日の午前に「予約制」でこの算定要件を満たす外来診察を開始しましたので宜しくお願いします。それ以外の項目では、強度行動障害児の入院加算は児童・思春期専門病棟を持つ病院に限られているため当院は対象にならず、アルコール依存症や摂食障害の入院管理加算についても、算定要件が厳しいため現段階では当院では算定できません。入院基本料13対1についても、平均在院日数が80日以内という条件がついているため、対象は総合病院の精神科病棟に限られてしまいました。
次に見直し項目ですが、急性期の入院について30日以内は1日20点引き上げられましたが、90日以後の加算は削られています。身体合併症加算も引き上げられましたが、慢性的な重度合併症にはほとんど算定できないため、実態を反映したものにはなっておらず、不十分なものと言えます。
精神科療養病棟入院の重症度評価には、GAFが使用されます。GAF(Global Assessment of Functioning)とは、精神的な健康と病気の状態は連続するもの(つまり程度の問題)とみなし、心理的、社会的、職業的機能も考慮して点数化したもので、100点に近い程精神的に健康とみなされます。療養病棟の入院料は1日につき40点切り下げられ、重症度加算としてGAF40以下には40点加算されます。GAFスコア40というのは、「現実検討か意思伝達にいくらか欠陥がある、または仕事や学校、家族関係、判断、思考または気分、など多くの面での粗大な欠陥がある」というレベルであり、入院患者のほぼ全員が加算の対象になりますので今回の改定の影響はほとんどありませんが、次回の改定で厳しくなる可能性があります。非定型抗精神病薬加算(急性期治療病棟や療養病棟などの「まるめ病棟」で新規抗精神病薬を使用した場合の加算)は、1日10点から、使用している抗精神病薬が2種類以下の場合は15点にアップされますが、これは現在問題となっている多剤大量投与を保険診療から見直す第一歩になるでしょう。
精神科デイケアは1日につき40点アップとなり、また開始から1年以内については50点加算されましたが、食事加算48点が廃止されたためデイケア全体ではマイナスになります。
以上のことから、今回の改定は一般精神科病院にはアップ材料が少なく、これ以外で薬価切り下げの影響を受けますので、当院ではわずかながらマイナスという残念な結果になりそうです。
今回の改訂では、精神科については昨年9月に厚労省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」でとりまとめられた「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」の提言がそのまま反映されています。その基本理念は「入院医療中心から地域生活中心へ」であり、これにはもちろん異論はありませんが、入院医療の評価が急性期治療に偏り慢性期治療が軽視されていること、慢性期治療においては退院促進や地域生活への移行支援による(社会的入院等の)長期入院の解消に重心を置いていることには疑問を感じています。私には、開放病棟で療養している社会的入院の患者の地域移行支援よりも、閉鎖処遇を続けざるを得ないような重度の患者の治療の方が重要と思えてなりません。また長期入院の解消を謳うのなら、地域移行支援だけではなく、慢性期治療全体がレベルアップするような施策が必要で、それにはまず看護体制の充実の手始めとして、今回新設された入院基本料13対1を、平均在院日数の縛りをはずして、当院のような一般精神科病院でも取得できるようにすべきではと考えています。

(白帝ニュース平成22年4月)


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