S&G コンサートそして「経験」

理事長 吉田 弘美

7月の中旬にサイモンとガーファンクルと言うアメリカの男性デュオのコンサートに行ってきました。ポール・サイモン、アート・ガーファンクルの二人組です。お二人とも1941年生まれで、これが最後の日本公演といわれています。60年~70年代のはじめに主に活躍したグループで、「明日にかける橋」、「サウンド・オブ・サイレンス」「スカボロフェアー」、そして映画音楽の「ミセス・ロビンソン」という辺りをご存知の方もいるのではないかと思います。とても懐かしく、楽しい一時を過ごしてきました。やっぱり、いいものですねライブは。
今回のコンサートの誘いを受けたのは、今年の春まだ浅い時でした。いつもコンサートや芝居に一緒に出かけてくれる先輩の方から、「16年ぶりに来日公演があるから行かないか、チケットは取れるよ。」と言われたのですが、私は「ちょっと待ってね。考えるから。」と一時、保留にしたのです。スケジュールの事とかで保留にしたわけではありません。実は16年前に出かけたコンサートの事が頭をよぎったからです。16年前のコンサート。今回はありませんでしたが、前座があり「南こうせつ」さんが出演されていました。強烈な帰れコールの後、本命のサイモンとガーファンクルの登場でした。主にボーカルを担当するアート・ガーファンクルは「エンジェル・ボイス」、「天使の歌声」と言われるほどハイトーンの美しさが有名でした。当然観客もそれに期待しないわけにはいきません。・・・ところが、声が出ないのです。全くでないわけではないのですが、所々でない。いや出ない所の方が多いのです。ステージの上ではこんなはずじゃあないと、もがき苦脳するアート・ガーファンクルの姿がどうしても私の頭から離れないのです。あんな痛々しいアート・ガーファンクルの姿を見るのは嫌だという思いが、即答を避けた理由です。でも、「もうチケット取ったから行くよ!」と言われ、半ばしぶしぶ、覚悟を決めて出かけたのが今回のコンサートでした。
ライブが始まるとステージには、当たり前のことですが、ちゃんと二人がいるのです。確かに16年前より年はとっています。でも、16年前と違い、とても自然に見える二人がそこにいるのです。もう、苦悩しているわけではありません。かといって自信にあふれていると言う言葉も違うように思えました。今日、この時、この時間、ここが僕達のいる場所だからここにいる。そうなのです、とても自然なのです。もちろん、以前のような「エンジェル・ボイス」は出ません。でも、現在、彼が出しうる音域で全ての曲を歌ってくれました。それがとてもすばらしかったのです。16年前の彼は本当に辛かったんだと思います。なまじ、声が出たり出なかったりするものだから、「こんな俺は俺じゃない!」と叫んでいるように思えました。・・・でも今回は「人は誰でも年をとる、もう昔のように声は出ない、だけど僕は今、僕の全てで僕の歌を歌うよ。」と言っているようでした。きっと彼は今の自分が大好きだと思います。できれば、もう一度、彼らのステージを見たいと思います。
最後に、今回、私も一つ気がついたことがあります。経験が世の中では大切だと言います。しかし、今回、私が経験則だけで判断してコンサートに行かなかったとしたら・・・。経験って、ただ単に過去のルールじゃないのかな、なんてことも考えさせられた、一夜でした。

(白帝ニュース平成21年10月) 


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