「患者様」から「患者さん」へ

院 長 加藤 荘二

まず3月1日付で当院の名称が「神経科犬山病院」から「犬山病院」に変更されたことをお知らせします。これは神経科という診療科名が近い将来標榜できなくなるため削除したものであり、当院の診療の範囲や内容に変更はありませんのでご安心下さい。
次に病院の基本方針ですが、企画運営会議、連絡調整会議等で検討し、以下のように変更しました。
(1) 地域の精神科医療の全般に応えると同時に専門性を追求します。
(2) 生物学的精神医学、精神病理学、社会精神医学の発展を受け入れ、いずれにも偏らず、倫理に反することのない、オーソドックスな医療を展開します。
(3) 病気や治療方法について患者さんや家族に十分説明し納得の上で、患者さん本位の医療を展開します。
(4) 「精神保健福祉法」の理念に基づき、適正な医療と保護を行い、患者さんの人権擁護に務めます。
(5) 患者さんの社会復帰を促進すると同時に、地域生活を支援し、ノーマライゼーション理念の実現に寄与します。
(6) 職員同士の議論を活発に行い、チーム医療を推進します。
(7) 地域の医療機関、行政、福祉施設、自助グループ等との連携を図り、医療と福祉が一体となったサービスの提供に努めます。
(8) 全ての職員が治療者であるとの考えに基づき、常に医療の質とサービスの向上に努めます。
今回の見直しは、文体を「です」「ます」にして丁寧な表現に改めたことと、(3)を付け加えたことぐらいで、基本方針の中身には大きな変更はありません。最後まで迷ったのは「患者様(さま)」という表現を用いるのか、どうかでした。医療機関が「患者様」という表現を使用したのは千葉県にある亀田総合病院が最初のようで(1995年)、2001年に厚労省の「医療サービス向上委員会」が「国立病院等における医療サービスの質の向上に関する指針」の中で、患者の呼称の際、原則として名前に様を付けるよう求めたことから、国立病院や医療機能評価の認定病院を目指す病院を中心に全国の病院に急速に拡がりました。私も院長就任当初は違和感を抱きながらも白帝ニュース等では「患者様」という表現を使っていました。この違和感は慣れれば時間とともに消失すると考えていましたが、逆に違和感は増大するばかりで、最近は「患者の皆様」とか「患者さん」にしてこの表現は極力避けていました。そのため今回の基本方針の見直しを機に、改めてこの問題について考えてみました。
「患者様」問題は二つに分けることができます。ひとつは掲示板やホームページでみられる「患者様(さま)」という表現の、言葉(日本語)としてのおかしさです。国語学者の故金田一春彦先生は「日本語を反省してみませんか」という著書の中で、「『患者』という言葉自体がすでに悪い印象を与えるため、様をつけてもうれしくない、敬うことにならない」等と述べているそうです。つまり「患者」という言葉には治療者側から少し見下すニュアンスがあり、それに最上級の敬語である「様」をつけるわけですからおかしいはずです。その点「患者さん」は見下すニュアンスを適度に打ち消す、程良い言葉と言えます。もうひとつは、患者さんを呼称する際、姓名に様をつけるかどうかの問題です。確かに医療はサービス業であり、患者さんは顧客(お客様)で、外来等の窓口に限ればデパートやホテルと同じように「様」でもおかしくはないでしょう。しかし患者さんと直面する治療現場においては「場違い」な感じがします。特に精神科においては、患者さんとの付き合いは長期に及ぶことが多く、その関係には水平性(対等性)が要求されますが、「様」では上下関係が意識されたり他人行儀となったりで、治療への一体感が生まれません。また日常生活指導等をしたり、時には本人の意に反する入院(医療保護入院)をさせたり、さらには隔離や拘束することもある等、「様」づけでは実態には合いません。この場合でも「さん」づけが自然で程良い呼び方と思われます。
「患者様」問題は些末なことですが、私にとっては喉に魚の小骨が刺さったような、長年気になって仕方がない問題でした。今後犬山病院では、文書や掲示板においては「患者様」という表現は使用せず、患者さんの呼称は、外来の受付や呼び出しの時に限って「様」を、それ以外は「さん」とします。これによって患者さんや家族の皆様に不愉快な思いをさせることのないよう言葉遣いや振舞いにはより一層注意していきますので、今後も宜しくお願いします。

 

(白帝ニュース平成20年4月)


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